歯周病治療

歯周病菌が認知症の引き金?
お口と脳の病気には関係があるかもしれません

いつまでも自分の歯でおいしく食べたい、というのは多く方がの願うことです。
それと同時に、いつまでも気持ちや意識をはっきり保って、元気に暮らしたいというのも当然の望みです。
こうした長寿と健康への期待に関わる研究が、近年進んでいます。

2019年にとある医学雑誌で、歯周病菌が認知症の引き金になっている可能性について、研究された論文が発表されました。
その論文は、アメリカの製薬会社・コルテキシム社の研究チームが、アルツハイマー病で亡くなった患者の脳を分析したものです。分析した54人の脳の96%で、「ジンジパイン」という有毒酵素が見つかりました。ジンジパインという酵素は、歯周病菌の一種が生み出しています。
また同じ脳からは、アルツハイマー病患者の脳に蓄積が見られる「タウ」と「ユビキチン」というタンパク質の一種も大量に見つかりました。

こうした分析をもとに、ジンジパインとアルツハイマー病の発症について、マウスを使った実験が行われました。マウスの歯にジンジパインを生み出す歯周病菌を塗ると、6週間後にはそのマウスの脳から通常より高水準のアミロイドβタンパク質と歯周病菌が見つかりました。アミロイドβタンパク質とは、アルツハイマー病で特徴的に所見される物質です。
この結果を受けて、現在コルテキシム社は、歯周病菌の抑制とジンジパインの産生阻害に効果のある薬を開発中とのことです。

アルツハイマー病の全容解明と治療薬開発に期待は高まりますが、まずは日々できることから歯周病、ひいては認知症の予防に取り組むことも大切かもしれません。
当院ではそうした患者さまの健康的な未来も意識して、歯科治療に取り組ませていただきます。

「ペリソルブ」歯石を溶かし殺菌するスウェーデン式歯周病治療

当院では、歯周病の治療に「ペリソルブ」という方法を導入しています。 ペリソルブは、歯科先進国・スウェーデンで開発され、普及している歯周病治療の方法です。

歯周病治療では、歯周病菌の温床になっている歯にこびりついた歯石や歯垢を、徹底的に除去する必要があります。従来は機械や器具で削るように除去していましたが、それでは汚染された部分が飛び散って感染を広げたり、化膿した歯肉に負担をかけたりするリスクがありました。 ペリソルブでは、こうしたリスクを回避することができます。ペリソルブ治療では、薬剤を歯石に塗って歯周病菌を殺菌しながら軟らかくします。軟らかくなった歯石は、専用の器具で取り除くので、痛みのない治療ができます。 歯周病菌を体内に侵入させず、歯肉に負担を与えることもない優れた治療法です。

「ペリソルブ」4つのメリット

  • メリット01

    歯肉にダメージを与えない

    ペリソルブを用いる治療では、歯石や歯垢を薬剤で溶かしてから、専用器具で取り除きます。無理やり強い力で削ることはないため、歯肉や歯にダメージを与えません。治療による出血も、最低限に抑えられます。

  • メリット02

    痛みが少なく、腫れの引きが早い

    ペリソルブが作用するのは、歯にこびりついた歯石と歯垢に対してのみです。歯肉や歯自体には負担をかけないので、痛みがほとんど出ません。歯周病で炎症を起こしている歯肉の腫れも、おさまりやすいのが特徴です。

  • メリット03

    抗生物質とは違い、刺激や副作用を引き起こさない

    ペリソルブは抗菌性の薬剤で、高い殺菌力があります。ただし抗生物質ではないので、治療効果以上の強い刺激や副作用などを引き起こす心配はありません。さまざまな年代の方に適用可能です。

  • メリット04

    歯周病菌が体内に侵入するのを防げる

    機械や器具で歯石を削る従来の処置では、汚染された組織が飛び散って、化膿している歯肉から歯周病菌が体内に侵入するリスクがありました。ペリソルブは殺菌して溶かして除去するので、こうしたリスクを防げます。

歯周病は全身の健康に影響を及ぼします

歯周病の初期症状は、冷たい物がしみたり、歯磨きのときに出血したりなど、あまり体に負担を感じない軽いものです。
しかし「全身に関わる感染症だ」といわれれば、些細な病気と済ませてよいものでないことがわかるでしょう。
アルツハイマー病以外にも、すでに歯周病菌と関連がわかっている疾患があります。
例えば糖尿病。生活習慣病の筆頭ですが、歯周病は糖尿病の合併症になります。糖尿病の発症要因にもなりうるとされています。歯周病菌が血管内に侵入することで、心筋梗塞や動脈硬化を引き起こす可能性があります。
妊娠中の女性が歯周病にかかると、早産や低体重児出産のリスクが高まります。
高齢の方に多い誤嚥性肺炎は、口内の歯周病菌が呼吸器に侵入することで起こる病気です。
その他にもさまざまな病気との関わりが指摘される歯周病は、もはや口だけでなく体全体の問題と捉えて、真剣に予防に取り組んだ方がよい病気です。

定期検診とメンテナンスでしっかり予防!

歯周病は、歯周病菌が引き起こす感染症。つまり、歯周病菌を口内で繁殖させないことが肝心です。毎日の歯磨きは、基本的なことでありながらとても大切なことなので、「食べたら磨く」という習慣を身につけましょう。
しかし歯磨きだけでは、歯垢の完全除去は難しいのが現実です。どうしても磨き残してしまった歯垢は歯石になってしまい、余計に落とすことが難しくなります。
そんなときには、歯科医院での定期検診でしっかりメンテナンスしましょう。
歯磨きでは取れない歯石も、プロのクリーニングできれいに落として、ツルツルで汚れが付きにくい歯にリセットできます。
自覚症状がない初期の歯周病も、定期検診でチェック可能です。症状が軽いうちに対処すれば、治すことも簡単です。
定期検診の目安は、3ヵ月に1回程度。美容院で髪を整えるのと同じくらいの気軽さで、全身の健康のため、歯周病予防をしっかり行ないましょう。
生活習慣や歯磨きの仕方など、気になっていることがあればアドバイスも可能です。

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